らいらっく幼稚園の特別支援教育




障がいのある幼児とは

札幌市立幼稚園では、「障がいのある幼児」を受け入れ、周りの子どもたちと一緒に生活しています。「障がいのある幼児」として入園すると、担当の教師による幼児の実態に応じたきめ細やかな指導を受けることができます。「障がいのある幼児」とは保護者の申し込みによって認定されます。障害の診断名や医師による診察が必要な訳ではありません。また幼稚園外に保護者の許可なく「障がいのある幼児」として知らせることは決してありません。

本園の特別支援教育へ

特別支援教育とは、従来の特殊教育の対象の障害だけでなく、LDADHD、高機能自閉症を含めて障害のある幼児の自立や社会参加に向けて、その一人一人の教育的ニーズを把握して、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善又は克服するために、適切な教育や指導を通じて必要な支援を行うものです。

 特別支援教育を進めていくにあたり必要な事項は以下の通りです。

@    個別の支援計画を作成しています。

保護者と幼稚園が協力して、障がいのある幼児一人一人のニーズを把握して、関係者・機関の連携による適切な教育的支援を効果的に行うために、実態の把握・課題の整理を行い、教育上の指導や支援を内容とする「個別の指導計画」を策定しています。

A 特別支援教育コーディネーターを置いています。

福祉・医療等の関係機関との間の連絡調整役として、あるいは保護者に対する学校の窓口の役割を担う者として幼稚園に置いております。また近隣の小学校とも連携をとって、就学などの相談もスムーズにいくように調整しています。

本園の特別支援教育が目指すもの

(1)特別支援教育は共に生きる教育

「特別支援教育」の視点から幼児の生活を考えたとき、幼稚園で障がいのある子もない子も「共に生きる」ことを、どのように実践するかを考えています。

(2)「共に生きる」ことの意味

障がいのある幼児は、先の見通しがもてないと不安であったり、急な予定変更にパニックになってしまうことも多いです。そこでまず「分かりやすい生活の流れと場を作ること」を心がけています。

1人1人の障がいのある幼児の特徴を把握しながら、障がいのある幼児も健常児もともに不安なく過ごせる生活の流れをどのように作っていくのか、配慮しています。

遊びの場の構成は、ままごとコーナー、絵本、製作、その他の遊具、道具と材料置き場などは出来る限り同じ場に配置するようにしています。閉鎖的な場で安定する子もいるため、教材収納庫、廊下の隅を活用したり、パーテーションで区切ったりする遊びの場を構成しています。

  

 


(3)共に生きるために遊びを考える

幼稚園において障がいのある幼児との生活で一番大切なのは遊びの場面です。そこで考えるのは障がいのある幼児のわかるやり方や仕方で遊びを取り上げていくことです。

 障がいのある幼児が、今していること・興味や関心のある事項を生かしてから、遊びや場を作り、友達とかかわる場面や状況を作っていきます。こうして障がいのある幼児も集団の中で、中心となって遊びを展開することができ、「特性」や「個性」が輝く場を作っています。

(4)異なる価値観をどう尊重するか

私たちが保育で一番大事にしているのは、あらゆる個性が「共に手をつなぎあえる関係性」です。障がいの種類によっては「異なる文化や価値観」で生きている場合もあります。障がいのある幼児たちと「共に生きる」ことは、異なる文化や価値を理解し、お互いを尊重し合うことです。

(5)周りの協力と理解

障がいのある子とない子が「共に生活する」には、大人の支援、配慮、援助が必要です。そのことで障がいのある幼児が自発的な活動でき、周りの子と同じように活動に参加できます。本園では職員の他に保育ボランティアを活用しています。ボランティアは福祉や保育、障がい児教育を専攻している大学生、退職した幼稚園教諭などが主に参加しています。

(6)個別の教育計画

本園の特別支援教育では、多様なニーズに適切に対応する「個別の指導計画」を作成しています。「ICF国際生活機能分類」世界保健機関(WHO)の精神を生かし、幼児の生活の困難さに視点を当て、どのような環境調整や援助で、より豊かな生活を営むことができるかを、保護者と一緒に考えながら作成しています。

参考文献

「わかってほしい!気になる子」田中康雄(学研2004

「ICF国際生活機能分類」世界保健機関(WHO)(中央法規2002年)

指導内容と形態について

(1)指導の重点(平成18年度すみれ学級経営案より)

・園生活に慣れ、安心感をもって過ごせるようにする。

・グループでの活動や、学級の友達とのかかわりを通して、社会性を身につける。

・身辺自立の促進と望ましい生活習慣の形成を図る。

・体を動かすことの楽しさを経験させながら、運動機能の発達と体力の増進に努める。

・遊びや人とかかわる楽しさを感じさせ表現意欲を高める中で、言語能力の発達を促す。

・いろいろな経験を通して興味や関心の幅を広げるようにしていく。

幼児一人一人が自己を発揮し、園生活を自分のものとして充実して過ごせるよう幼児の実態や状況に応じて個別指導、小集団での指導、大きな集団での指導を柔軟に行っています。以下に集団の質と場による指導内容について簡単に触れます。

(2)クラスでの活動と支援 

登園・降園の身支度、基本的な生活習慣、学級全体の活動など、幼稚園において主に生活する場です。

 学級の活動の流れについては、1日の予定と活動に見通しを立てるよう、スケジュールボードなどを利用し、予定を幼児にわかりやすく伝えています。

集団活動への参加は、それぞれの幼児の実態に応じて、できること、興味があることを取り上げ、達成感や満足感を味わい、自信につながるようにしています。また技能的に難しい、あるいはまったく興味を示さないことで参加が困難な活動には、部分的でも参加可能なように教材や環境に配慮しています。

生活習慣の形成に当たっては、家庭との連携を図りながら、一人一人の幼児の実態に応じ、具体的な場面で繰り返し指導します。十分に認めたり励ましたりしながら、自分でできたという満足感を味わい、自信をもてるようにしています。

  

(3)自由な遊びでの活動と支援

自主的・自発的に遊びを展開でき、自分の興味・関心に応じて活動を選択でき、遊びの中で自然に友達とのかかわりが生まれる場です。もっとも自分らしく生活できる場面ともいえます。

遊びは子どもにとって楽しさを追求する活動であると同時に、体を動かす、友達と遊ぶなどの活動を通して「社会性や体の発達を促す」という重要な意味をもちます。特に障がいのある幼児は、体のバランス、知覚のバランス、社会性などが発達途上のために、日常生活の中で苦手意識やストレスを感じ、自信をなくしていることも少なくありません。そのために、楽しく遊ぶなかで「出来た」という達成感を体験し、積極性を養うとともに、自己肯定感を高めていく必要があります。一人一人の幼児の実態や興味関心を生かし、環境構成と教材の準備をし、「やってみたい」という気持ちを高めていく援助をしています。

また、友達との遊びのを通して、友達と遊ぶことの楽しさを伝えるのはもちろんのこと、仲間作り、遊びのルール、順番、協調性など、様々な社会性が身につけていくような仲立ちをしています。

安全面に関しては教師間で声を掛け合い、行動の把握に努め、環境に配慮する。また障がいのある幼児に対しても実際の場面で具体的な指導を行っています。


  

 

(4)自由な活動でのすみれ保育室での遊びと支援

落ち着いた環境、適切な指導の場として、障がい幼児の安定の場として「すみれ保育室」があります。幼児が取り組みたい遊びを思う存分楽しみ、満足感が得られるように環境を整えています。幼児の興味関心を生かし、扱いやすい教材の用意しています。少ない刺激で、静かで落ち着いた空間を確保しています。

教師との一対一でのかかわりやスキンシップを十分に楽しむ事により、人とかかわる楽しさを感じられるようにし、大人とのかかわりを基盤とし、子ども同士のかかわりを楽しむことができるようにしています。

(5)すみれスマイルの指導について

・本園では、ゆったりと落ち着いた雰囲気による小集団の指導を「すみれスマイル」と呼んでおります。基本的に毎日行い、規則正しい生活の流れを作っています。人数が多すぎる場合は、参加を制限しますが、特別な子の特別な場・時間にはせず、障がいのない幼児も数名参加できるようにしています。

<主な活動(平成18年度例)>

1、歌を歌う (例「どんな色が好き」、「あいうえおにぎり」、など)
2、手遊びをする (例「頭、肩、ひざ、ポン」、「パンダ・うさぎ・コアラ」など)
3、名前を呼ばれたら返事をする インタビューに答える
4、絵本・紙芝居を見る(例 エリックカールの絵本、学級の月刊絵本) など
5
、ソーシャルスキルトレーニング(例 SSTカードを見る)など
6
、今日のお楽しみ(例 ハンモック、ゴムとび、バルーン、製作など)

<ねらい、願い>

・自己肯定感をもつ
・先の見通しがたつ
・待つことができる
・身体感覚を刺激する
・興味関心に応じた遊びを展開できる
・達成感
・静かに遊ぶ
・個々の技術の向上を図る
・ソーシャルスキルトレーニングで社会性を身につける


  

(6)   ボランティアの活用

一人一人の教育的ニーズに応じるために、本園ではボランティアを募集し、保育のお手伝いをしていただいています。幼児教育、福祉、障害児教育などを専攻している学生や保育経験者などがボランティアになっていただいています。

参考文献 「ココロとカラダ ほぐしあそび」二宮信一(学研2005年)

就学指導について

5月に「すみれ懇談会」で保護者に就学までの流れを説明しています。

6月〜7月にかけて学校訪問を実施します。進学を予定している小学校の通常の学級、あるいは特別支援学級など、保護者のニーズに応じて、見学先の学校に連絡して見学をさせていただいています。

札幌市幼児教育センターの「教育相談」の受診を勧めています。子どもの様子を専門家に診てもらい、就学についての心配や不安に応えてもらうのが目的です。また最終的には「学びの支援委員会」に継続される場合もあります。

8月は「すみれ情報交流会」が開催されます。これは修了した障がいのある児童・生徒(小学1年生から中学1年生まで)と保護者、旧職員、現在、在籍中の障がいのある幼児と保護者、現職員が集まり、就学後の様子について情報交換し合う場です。在園している保護者にとっては地域の小学校・中学校の様子を直接保護者から聞いたり、同じように不安や葛藤があったことに共感したり励まされたり先輩保護者からのアドバイスをもらえる貴重な場となっています。

2学期後半から3学期にかけて、幼児教育センターの学びの支援委員会への就学相談となります。

3月末には進学する小学校に直接出向いて、幼稚園での指導の様子やお願いしたい配慮点などを伝えています。

他機関との連携について

特別支援教育の基本的な考え方として、「多様なニーズに適切に対応する『個別の教育支援計画』を作成し、教育的支援を行う人や機関を連絡調整するキーパーソンとしての特別支援教育コーディネーターを置き、質の高い教育支援を支えるネットワークとしての広域特別支援連携協議会等を作成する」ことがあげられています。

本園でも入園前にはほとんどがいくつかの医療機関での診療や療育を経験し、入園後もそうした医療機関や療育機関、ことばの教室などに通うといういわゆる“並行通園”を続けている子が多いです。

そこで、子どもが通園、通所している機関と連携しています。

平行通園している機関の指導の様子を見学させていただくことや、他機関から幼稚園の保育の様子を見学する機会もあります。



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